
心が変わる時
壁は
扉と変わる
親鸞様の著述『教行信証』に
「弥陀の願船に乗じて、光明の広海に浮かびぬれば、
至徳の風静かにして衆禍の波転ず」
という、ご文があります。
意訳すると、
「本願の大いなる慈悲の船に乗り、
念仏の衆生を摂(おさ)めとる光明の大海に浮かぶと、
この上ない功徳の風が静かに吹き、
すべてのわざわいの波は転じて治まる」
となります。
今月は、「衆禍の波転ず」の「転」について
味わってみたいと思います。
お念仏の教えをよろこんだ木村無相さんのことばに
「ご縁、ご縁、みなご縁、困ったこともみなご縁、
南無阿弥陀仏に遇うご縁」とあります。
私たちの人生は、老・病・死をはじめ、
思い通りにならないことの方が多い人生です。
思い通りにならないことも、お念仏を喜ぶご縁としていただけたら、
思い通りにならないことから逃げるのではなく、
そのまま受け止めていくことができます。
病を仏縁とされた岸本たえさんは
「わが病は如来を慕う縁(えにし)なり病を菩薩といただきいかん」
と詠まれています。
『教行信証』に「円融至徳の嘉号は悪を転じて徳と成す正智」
南無阿弥陀仏は悪を転じて徳と成す智恵のはたらきである
と記されています。
岩もあり木の根もあれど
さらさらと たださらさらと
水の流れる
(甲斐和里子)
病を菩薩といただき、様々な障りにも、
とどまることのない水の流れに
「転」の心を味わっています。