浄土真宗本願寺派 小倉御坊 永照寺
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今月の法話

今月の法話:2013年11月

霜月

再会の言葉

友人の母が亡くなった。
葬儀を勤めさせて頂いたのだが、こんなに悲しく、寂しいことはなかった。

『朝から涙が止まりません。父と二人で抱き合い、号泣しました。そして、母の遺体に顔を寄せ合い、二人で泣きました。悲しい。初めての、そして突然の経験に胸が押しつぶされそうです。昨日まで、いろんな理由をつけて母の死を受け入れようと、そして気丈に振舞ってきました。
でも、そんなのはタダの演技、ウソです。全く受け入れることなど出来ません。死ぬほど辛いとはこのことです。でも、死は誰にでも平等にやってきます。母にはそれが早く、そして突然訪れてしまいました。今はただ前に向かってチョボチョボ歩くことしかできませんが、いつの日かスキップが出来るようになりたい。
最後に、やっぱりさみしい!!!お母さんと話したい!!!お母さんに叱られたい!!!お母さん!!!お母さん!!!お母さん!!!』

というフェースブックの書き込みを見て、更にその想いは増した。手を振っている写真が遺影に選ばれた。 微笑みながら手を振っている写真に台詞をつけるなら…「バイバイ」が妥当なところだろう。しかし、友人は出棺の時の挨拶でこう言った。
「母とは本当の別れとは思っていません。しばしの別れです。あの遺影は『またね』と言っています」その言葉は暗雲の中に射す一筋の光のように思えた。
縁あって同じ時代に生まれ、希有な確率で出遇うことの出来た最愛の家族。その家族との別れ。全く違う別々の方向を進んでいくのはあまりにも寂しすぎる。

初七日を終えた時、友人と2人手を取り泣きながら「寂しいね」と言った。寂しい。悲しい。寂しい。悲しい。寂しい。悲しい。この感情を拭い去ることは出来ないけどこの感情達がいつか喜びに形を変えるその日まで、ささやかながら力になりたい。
悲しみに足をとられることなく、悲しみに慣れることなく、悲しみをあおるのではなく 仕事として寄り添うのではなく 自然になんとなく これが出来るようになるまで精進しなくてはならない。南無阿弥陀仏

(平成25年11月の法話 担当:村上 慈顕)


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