あかつきの
まだくらきより
み名となふる
出で入るいきぞ
たふとかりけり
今月のことばは、斎藤茂吉さん(1882~1953)です。
斎藤さんは、山形県の生まれで、旧姓は「守谷」、
幼い時、経済的な事情で、
同郷出身の東京の斎藤家へ養子候補として預けられます。
それ故、長じても母に対する思いは強かったようです。
斎藤茂吉さんの歌集「赤光」があります。
「赤光」は『仏説阿弥陀経』のご文
「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光」に依るものです。
実家の隣にお寺があったので、仏縁も深かったようです。
5月は「母の日」また、燕の飛来する時でもあります。
この時期になると、次の句を思い出します。
のど赤き
玄鳥(つばくらめ)ふたつ
屋梁にゐて
足乳根の母は
死にたまふなり
死にゆく母と、いのちの鳴き声奏でている
「つばめ」の対比を詠んでいます。
生も死も、老いも病も、
お慈悲の中、お念仏申しながら、
今月のことばを味わっています。