
彼岸花
彼岸がくると
咲く不思議
9月は「お彼岸」、亡き人を偲び、仏法に接するご縁の月です。
秋彼岸の頃になると、待ちかねていたかのように、
彼岸花が一斉に咲きます。
彼岸花を見る時、
美智子上皇后さまの次の短歌を思い出します。
彼岸花咲ける
間(あはひ)の道をゆく
行き極まれば
母に会ふらし
彼岸花は、その名の通り、彼岸を連想させます。
彼岸花の咲く道はお浄土へと続く道、
そのお浄土は、先立っていった母上のおられるお浄土、
娑婆のいのちを燃えつくし往生浄土するならば、
お浄土で会うことができるでしょう。
2011年、東海大学の産業工学部が、
学生約1000人に「天文調査」を実施しました。
設問のひとつに「太陽が沈む方角を答えてください」
1:東、2:西、3:南、4:北の4択です。
結果を見て驚きました。
4人に1人が、太陽の沈む方角を西と答えることができなかったのです。
自然に興味がないのでしょうか。
古来より、太陽の沈む「西」は、私のいのちの帰る方向とされていました。
「西」の字、ロは鳥の巣を表し、
πは鳥が羽を、足を畳んでいる象形、
即ち、安心して休む姿が西の字の成り立ちです。
太陽が真東から登り、真西に沈む秋分の日、西方浄土、
「この世の縁が尽きる時、浄土に生まれて仏となる」
私のいのちの往くさきを味わっています。
父母もはらからも
居(ま)す彼の国へ
われも往くなり
遠からずして