
菊づくり
菊見るときは
かげの人
10月のことばは、『三国志』『宮本武蔵』『親鸞』等の作品を著された、
作家 吉川英治(1892~1962)さんです。
ひと昔前、結婚式のスピーチで、この句に続き
「菊根分けあとは自分の土で咲け」とよく使われた言葉です。
菊づくりには、床づくり・挿し芽・数回の植え替え、土作り等々、
大変手間がかかります。
加賀の千代女が
「いくたびかお手間かかりし菊の花」
という句を詠まれましたが、頷かされます。
いくたびかお手間かかりしとは、
菊づくりの手間だけではなく、
阿弥陀様の五劫思惟の願と味わっています。
「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、
ひとえに親鸞一人がためなりけり」  
『歎異抄』
阿弥陀さまが、すべての者を安らかにしたいと願い、
長い時間をかけてご苦労を重ねてくださったのは、
この私のためであったと喜ばれたお言葉です。
その願いは、いつでも、どこでも
私に寄り添ってくださる南無阿弥陀仏のお念仏として
私に届けられています。
菊の花の季節、
仏さまのお慈悲の心をお聞かせいただいています。



