浄土真宗本願寺派 小倉御坊 永照寺
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今月の法話

今月の法話:2013年8月

葉月

経糸あれば怖いものなし!

『二つの真理(二諦)に依存して、もろもろのブッダは法(教え)を説いた。〔その二つの真理とは〕世俗の覆われた立場での真理と、究極の立場から見た真理とである。この二つの真理を知らない人々は、ブッダの教えにおける深遠な真理を理解していないのである』

お盆参りの際、女子校生がモジモジしている。お姉ちゃんが「言いなよ!言いなよ!」と妹をツンツンしている。「まさか!告白されるのか」と覚悟していると「あ、あの 霊っていますか?」そっちかい(笑)と少し残念な気持ちになった。これはよくある質問だが、今回はどう答えるか?『空とは、有と無から離れたところにあるものなり。有と無に関する形而上学的断定から離れなされ!執着しなさんな』と答えた所で???となるに違いない。「仏教では霊魂を否定している(厳密には否定はしていないのだが…)」と権威を押し付けた所でなんの価値もない。よ~し、この夏はこれで行ってみよう。

これはフランスのある地方の怪談話。
おじいさんが言った。「最近夜トイレに行くと、電気が自動的につくんだ。その後、なんやら生臭い匂いがプーンとする。用を終えるとまた電気が消える。怖くてしかたない。おそらくウチになんやら悪霊がとりついたに違いない」
おばあさん「まあ、そんなこととは気づきませんでした」

夜中におじいさんは目を覚ます。
いつもの如くトイレに向かう。おばあさんも恐怖に身を震わせながらも勇気をだして、コッソリおじいさんの後をつけた。おじいさんはトイレの側まで行くとふと方向を変える。むかった先は台所。

なんと冷蔵庫を開けてその中に用を足したのだ。
ただ寝ぼけているだけだった。若干の痴呆があったのかもしれない。

心理的に不安定な時、生きる上で柱を失った時、霊を見るという人は多い。脳が霊を作る場合もあるだろう。懇切丁寧に説明したのだが、若干霊を否定するサイドに立っている私に対し「霊にいて欲しい」に始まり、「きっとそのおじいさんが用を足したのは霊蔵庫なんですよ」と超高校級の締めをしてくださった。
親父ギャグを楽しそうに解説する少女の姿を見ていると、これも霊が与えてくれたご縁だなと温かい気持ちになった。霊や迷信、占いに過剰反応を示すことは坊さんの悪い癖だ。霊と遊ぶ余裕があったっていいじゃない!どうでもいいじゃない!己がそんなものに左右されなければ。

(平成25年8月の法話 担当:村上 慈顕)


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