いそがしく時計の動く師走哉
12月のことばは、正岡子規(1867~1902)さんの俳句からです。
時間は誰にでも平等ですが、楽しい時間はすぐに過ぎ、嫌なことをするときには、中々時間がたたないと感じます。
お寺にとって、最も忙しいのは「お盆」の期間、次に忙しいのは12月です。特に、12月の土曜、日曜は、年末年始の仏事を引き上げ勤修するので法務が重なり忙しくなります。
「忙」しいという字は「心」が「亡」くなるという意味です。忙しい時には、蓮如上人のお言葉をいただきたいものです。
蓮如上人の『聞書』102条には、「仏法には明日と申すことあるまじく候ふ。仏法のことはいそげ、いそげと仰せられ候ふ」、また同155条には、「仏法には世間のひまを闕(か)きてきくべし。世間の隙をあけて法をきくべきやうに思ふこと、あさましきことなり。仏法には明日といふことあるまじきよしの仰せに候ふ」とあります。
「世間のひまをかきて」というのは「世事に費やす時間をさいて」という意味です。
仏法を聞くのは、隙になったら聞くのではなくて、世事の時間をやりくりして時間を作って聞きなさい。日常生活の忙しいときこそ、先ず、お念仏の教えを聞いていきなさいとのお勧めです。
年末、お仏壇の掃除をし、仏徳と先達の遺徳を讃嘆させていただき、心静かに新年をお迎えください。
また、年末年始、永照寺では「除夜会」「年頭初参法要」と仏法聴聞のご縁があります。どうぞ、時間を都合して、お参りくださいませ。
(令和元年12月の掲示板)