鳥が選んだ枝
枝が待っていた鳥
7月のことばは、陶芸家 河井寛次郎(1890~1966)さんです。
梅雨が明けると、蝉の合唱がはじまります。
境内の「インド菩提樹」や「かし」の木の根元に蝉の穴がたくさんあります。
「蝉が選んだ木、木が待っていた蝉」と思うことです。
人生には、様々な出会いがあります。
人・仕事・芸術・趣味・自然、その中で、
これこそは出会うべくして出会ったと思えることがあります。
親鸞聖人にとっては、師匠の法然様であり、お念仏の教えです。
阿弥陀仏の「ご本願」には、
南無阿弥陀仏の声の仏となって、
十方の衆生(すべてのいのちあるもの)を摂めとっていくと誓われています。
その「ご本願」を、親鸞聖人は「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、
ひとえに親鸞一人がためなりけり」(歎異抄後序)と述べられています。
「弥陀の五劫思惟の願」は「阿弥陀仏のご本願」のことです。
ご本願にとかれた「十方衆生」とは、この「親鸞」のことといただいています。
『教行信証・総序』には
「遇(あ)いがたくして いま遇(あ)うことを得たり。
聞きがたくして すでに聞くことを得たり」
「あう」は「会う」ではなく「遇う」という字を使われています。
本来、「あう」ことのできなかったものに「あう」ことを表す「遇う」です。
声の仏「南無阿弥陀仏」となって、私をよびつづけるはたらきに、
遇(あ)いがたくして 遇(あ)い、聞きがたくして 聞くことができたと…
その、よろこびを顕されています。
ご本願に誓われた私
私に届いたご本願